ナンタケットバスケット−本物とニセモノ
〜 よくある質問。何が本物で、何がニセモノなのでしょうか? 〜
明確な基準はない
まずは、これを知っておく必要があります。
明確な基準は、ないのです。
ナンタケットバスケットには、これは本物、という明確な認定制度はありません。
たとえば、日本の伝統工芸品マークのような公的機関による認証は、存在しないのです。
また、作り手に対しても、「ナンタケットバスケット作家」の資格試験があるわけでもありません。 極端な話、「ナンタケットバスケット」と銘打ったものを、だれが作ってだれが販売しても、自由なのです。
ナンセンスな議論?
米国内では、買い手自身が品質と価格を見て、納得して選んだものならよいわけで、
それがホンモノかニセモノか、とやかくいうことではない、という風潮も強いのです。
そもそも、「本物か?ニセモノか?」という議論それ自体が、きわめてナンセンスだ、という作家もいます。
また、なにをもって「ナンタケットバスケットの伝統的製法」というのか、それすらも明確ではない、という作家もいます。 ナンタケットバスケットは、歴史の中で育ち、かつ作家ごとに個性を発揮して、さまざまなテイストのものが日々つくられ、進化していくからです。
ナンタケットバスケットは、あくまで、ナンタケット島で古くから編まれてきたバスケットの総称なのです。
ヴィトンのバッグの真贋を判定するような感覚で、判定できるものではない、ということです。
一つの目安「ナンタケットバスケット協会」
かつては、「ナンタケットバスケット協会」というものがありました。 中国などで大量に生産されるバスケットと明確に区別し、製作者を保護する目的で設立されたものです。 ナンタケットの伝統的な編み方で製作を行う職人に認定を行っていましたが、2005年に解散しました。
当協会のメンバーであれば、正統派ナンタケットバスケット作家である、ということになっていました。 しかし、有名作家であっても、あえてメンバー入りしない人たちもいました。
つまり、かつてメンバーであった作家は、お墨つきだといえますが、メンバーでなかったからといって、ニセモノだとはいえない、ということです。 認定制度というにはあやういものですが、とりあえずかつてメンバーだった、という作家は安心できる、という目安にはなるでしょう。
あくまでも「目安」です。
それでも、質の違いは明らかに存在する
本物とニセモノが、くっきりと線引きできるものではない、
という説明をしましたが、それでもやはり、質の違いは明らかに存在します。
質の違いとは何か。
それは、素材の違い、技術の違い、かけられた手間ひまの違いです。
また、質の違いとは別に、だれだれの作品、というブランド力も、ナンタケットバスケットの世界には存在します。
それでは、そういった各観点を含めた、総合的なナンタケットバスケットの違いについて、くわしくみていきましょう。
ナンタケットバスケットの分類 3段階
私たちは、便宜上(あくまでほんとうに便宜上)、
ナンタケットバスケットのレベルを3段階に分類しました(下図)。
(*この分類は、当方にて独自に作成したものであり、一般に通じている概念ではありません。)
このピラミッドは、上にいくほど、品質・価格ともに高くなります。 そして、供給者(職人さん)の数も、少なくなります。
前述の、「ナンタケットバスケット協会」が認めていたのは、A、Bレベルです。 そしてわれわれクラーベルでも、扱う商品は、A、Bレベルのものに限っています。
A,B,Cそれぞれの区分けについて、もう少しくわしくみていきましょう。
A: 超有名作家もの
卓越した技術を持つ、とても有名な作家の作品です。米国に数名しかいないともいわれています。 作品は、オーダー後1年以上の納期を必要とします。 非常に細かな作業、技巧に優れた作品が特徴です。 価格帯は、30〜100万円、デザインによっては、それ以上することもあります。
B: 正統派作家もの
ナンタケットバスケットの伝統的な編み方にのっとって製作する作家の作品です。 Aほど有名でなくても、「一生もの」にふさわしいバスケットを作る、確かな技術を持つ作家の作品です。 みなプロとしての誇りを持っており、この道30年、40年、という作家も多く存在します。 まだ若くとも、新進作家として今後の活躍が期待できる方も多く、価値の上昇を期待しつつそういった作家の作品を収集することを楽しんでいる人もいます。
ナンタケット島だけでなく、米国内の別の場所に在住しているケースもあります。 ナンタケット島は寒冷地なので、老後はフロリダなどの温暖な地に移り住む作家さんも多くいらっしゃいます。
バスケット底には、正統派ナンタケットバスケットの証拠である、作家のサインが彫刻されます。
素材にもこだわり、オーク、チェリー、マホガニーなど上質なものを用います。 納期は、オーダー後2ヶ月〜6ヶ月程度。 価格帯は、3〜80万円。ふたや取っ手がついていなければ、5万円くらいで入手できるものもあります。
C:
非作家もの
「ナンタケットバスケットふう」と称されるものです。
AやBの「作家もの」とは異なり、雑貨品・消耗品として、安価に大量生産されるものです。 最近では、中国やフィリピンなどで、安く製造されるケースも多くあります。
見た目のデザインを、ナンタケットバスケットに似せて作ったものです。 ですので、底が板であることや、へりのかがり編みがされていることなど、ナンタケットバスケットの特徴(→ナンタケットバスケット大解剖)は押さえてあります。
それでもやはり、材質や編み方はチープであり、「一生もの」のナンタケットバスケットの概念からは外れるものです。
バスケット底に、サインはありません。
作品は、オーダーメイドではなく、雑貨屋で店頭に並べられています。 ナンタケット島内やボストン空港のおみやげ屋さんでも、このタイプのバスケットは販売されています。
価格帯は、数千円から1万円くらい。最近は、2,3万円の微妙なラインまであると聞いています。
遊び感覚で「ナンタケットバスケットっぽい」感じを楽しむには、こちらでもよいかと思います。 ただし、作家もののバスケットが欲しかったのに、知識がないばかりに、間違えてこちらのタイプの品を高い価格で購入してしまう、ということのないように注意したいものです。
まれに、素人狙いで5万円程度の値で売られることもあるので、要注意です。
私どもクラーベルジャパンでは、こちらのCのタイプは取り扱いしておりません。
みなさまにとっての、「とっておきの本物」を見つけてください
数あるナンタケットバスケット作家の中で、どの人が本物か、というのは、あくまで主観的な判断だと思います。 前述のとおり、本物作家を認定する基準はないわけですから。
例として、フランス料理について、考えてみましょう。
Aさんが、 「私は日本人の中では、○○さん以外はフランス料理人と認めない!」 と主張したとしましょう。 それはきっと正しいのでしょう、Aさんにとっては。 その人以外はフランス料理人とは呼べないのでしょう。
でも、他の人にとっては、もっとも腕のいいフランス料理人は、ほかにいるかもしれません。 また別の人にとっては、単にフランス料理店で料理を作ってさえいれば、フランス料理人と呼んでいいのでは?と思うかもしれません。
ナンタケットバスケットについても、同様のことがいえるのでしょう。 ある人にとっては、その人の認める作家は、100人くらいいるのかもしれません。 別の人が判定するには、5人しかいないのかもしれません。 いや、もう、みな死んでしまって、1人もいないのかもしれません。
それは、わかりません。 答えはきっと、あなた自身が決めることなのだと思います。 いろいろな作家のいろいろな作品を見て、あ、これは素晴らしい!ホンモノだ!と感じたのであれば、きっとあなたにとってホンモノのナンタケットバスケットなのではないでしょうか。
アメリカ国内では、ふつうの主婦の方々が趣味でナンタケットバスケットづくりを楽しんでいて、家で使ったり、作品をバザーに出したりしています。
日本でも、ナンタケットバスケット作りが広まりつつあり、多くの方々が楽しんで製作されているとお聞きしています。 それは素晴らしいことなのではないでしょうか。 ナンタケットバスケットの魅力を知り、自分でも編んでみたいと思い立つ。 そして、熱心に勉強し、ナンタケットバスケットを作る人たちが世界中で増えている、それはほんとうに歓迎すべき、素晴らしいことだと思います。
ではそういった人たちの「作品」が、米国有名作家のものでないからといって、ニセモノ!としてしまっていいのでしょうか。 ちょっと違いますよね。 ナンタケット島でも、カリフォルニアでも、ヨーロッパでも、日本でも、心をこめてナンタケットバスケットを製作している人たちはたくさんいます。 ナンタケットバスケットを愛し、ナンタケット島の歴史と伝統を愛し、思いをこめて製作する人たちのバスケットは、ある意味すべて本物なのではないでしょうか。
みなさまがぜひ、自分だけのとっておきの「ホンモノ」に出会えることを願っております。
そして、これからも多くのナンタケットバスケットの作家が生まれることを祈っております。
「工房」ものにはご注意を
正統派ナンタケットバスケットをお求めになるにあたって、ある注意を申し上げておきたいと思います。 虚偽とまではいかなくても、「消費者に誤解を与える表現」についてです。
「アメリカの工房から取り寄せたもの」「アメリカの工房より直輸入」という書き方には、注意してください。
工房がアメリカにあるだけで、作っている人はアメリカ人であるとは限りません。 実績ある熟練作家であるとも限りません。 たとえ「有名な作家の工房」だとしても、そこで修行している弟子の作品かもしれません。それだったらまだいいのですが、工房で行われたちょっとしたミニレッスンに参加した主婦の、「おためし作品」かもしれないのです。
もし工房名しか説明がない場合、「作家名が明記されているか」を確認してください。 底裏にサインが彫られているという事実だけではだめです。 商品説明部分に作家の名前が明確に載っていること、そしてその方の実績・略歴を確認してください。
もし載っていなければ、発売元に問い合わせて、確認してください。 それでもわからない場合や言葉を濁された場合、もしあなたが上述A.B.の「作家もの」を求めていて高額な料金を支払おうとしているのであれば、やめたほうがいいと思います。
証明書つき、という表現にも惑わされないでください。 「工房で作られた」証明であって、作家の証明であるとは限りません。
私どもクラーベルでは、信頼できる熟練作家本人が作ったバスケットのみを扱っております。 弟子や生徒が作ったものなどは、いっさい扱いません。 お客さまに安心していただけるよう、もちろん作家名は明記し、略歴も加えておりますのでご安心ください。
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ここまでお読みいただき、ありがとうございます。 ナンタケットバスケットの特徴や歴史、活用シーンなどご理解いただけましたでしょうか。
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